2021/10/03

部落学序説の研究方法再認識

筆者の研究方法再認識(旧:部落学序説余話 その1)

『部落学序説』第4章を執筆するのに1年以上の日数を費やしました。明治4年の「穢多非人ノ称廃止」の太政官布告が近世幕藩体制下の身分制度解体以上の意味しかないことを多角的に証明しようとしてきました。

この太政官布告は、一般説・通説では、「解放令」・「部落解放令」・「賤民解放令」・「賤民廃止令」・・・などと言われていますが、「非常民の学としての部落学構築をめざす」『部落学序説』の筆者としては、明治4年の太政官布告を「解放令」・「部落解放令」・「賤民解放令」・「賤民廃止令」・・・とみなす法解釈は的をはずしている誤解、歴史の曲解であると思います。

しかし、『部落学序説』の第1章~第3章だけでなく、第4章の内容においても、『部落学序説』の読者の方々から直接批判はありませんでした。

筆者の、『部落学序説』執筆に際しての論の立てかたは至って単純で、学者・研究者・教育者であるAの説と、Aと対極にあると思われる、学者・研究者・教育者Bの説を、「常民・非常民論」・「新けがれ論」などの筆者固有の解釈原理から比較検証して、分析と総合を行い、部落差別の完全解消への新たな提言につなげる・・・という方針のもとに執筆しています。

『部落学序説』の読者の方々は、Aの説とBの説の両者を比較して、筆者が、いずれかを採用しいずれかを排除していることについて、Aの立場、Bの立場、それぞれの立場にたって、筆者に批判を加えることもできますし、あらたにA説とB説の他に、あらたなC説を持ち出して、A説・B説・筆者の説を凌駕するようなあたらしい説を展開することも可能です。

しかし、現在のところ、『部落学序説』の読者の方々からの、内容批判と思われる批判はほとんどありません。

ココログのアクセス解析では、過去4ヶ月間の集計対象訪問者数:21,307のうち、『部落学序説』に1回アクセスして二度とアクセスされることのない方々は、19,336人にのぼります。実に90.7%の方々が、『部落学序説』の内容を検証されることなく通り過ぎて行かれます。

2回以上、『部落学序説』を読みにきてくださる方々は、1,971人に過ぎません。

この4ヶ月間、1月1回以上読みにきてくださる方々は、437人、1週間1回以上読みにきてくださる方々は、48人、2日に1回読みにきてくださる方々は、13人、毎日読みにきてくださる方々は3人(そのうちの一人は筆者自身です)です。もちろん、『部落学序説』は、1回のクリックで全文書をダウンロードできる仕組みですから、1回のアクセスで全文書をダウンロードすれば当分、『部落学序説』にアクセスする必要はなくなります。ココログのアクセス解析の数字だけで、『部落学序説』の読書状況を完全に把握し評価することは事実上不可能です。それを踏まえながら、1週間1回以上読みにきてくださる方々を『部落学序説』の定期購読されている読者といたしますと、『部落学序説』の読者の方々は、約50人ということになります。

約50人の方々が、『部落学序説』をどのような思いで読んでくださっているのか、筆者には知るよしもありませんが、「無学歴・無資格」の筆者の書く文章を定期的に読んでくださることに心から感謝申し上げざるを得ません。

『部落学序説』の筆者に対するアクセスしてくださる方々の批判の中で一番多いのは、『部落学序説』の論文の内容ではなく、その語り方にあるように思われます。特に、筆者が、「無学歴・無資格」を標榜することについて、そして、またそれに関する個人的な文章を『部落学序説』の本文の中に織り込むことについて、論文としての『部落学序説』の品格をおとしめることになると指摘されます。さらには、社会的にマイナス価値としてしか見られない「無学歴・無資格」を標榜することは、筆者の劣等感に根ざした「自己卑下」として認識され、「部落差別を論じる資格なし」と、筆者に対する批判を展開される方々もおられます。

『部落学序説』を最初から全編、目を通してくださる読者の方々ではなく、適当に抜粋された文章を2、3読まれただけで、筆者の「無学歴・無資格」につまずかれ、筆者に批判を展開される方々は、筆者の「無学歴・無資格」にこめている意味を読み過ごされた上での批判であると思われますが、2006年の年も終わりに近づきましたので、『部落学序説』執筆継続の1年を振り返るためにも、このことを少しく論じたいと思います。

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